難易度★★★ 参考演奏時間【10:46】
A・リードの代表作のひとつであるこの作品は、4楽章からなる組曲として作曲されました。初版出版の際に1楽章をパート1 2楽章から4楽章までをパート2にしてしまった為別の曲の様に演奏される場合が多いのですが。本来は全4楽章で構成されています。この曲は古いアルメニアの歌集や古典音楽を確立したゴミダス・ファルタベッドによって収集されたアルメニア民謡に基づいて作曲されています。リードが作曲する曲は宗教的な背景や民族的な意味合いを持つ曲が多いことで有名です。1972年にイリノイ大学バンドの委嘱で書かれたこの曲は現在の吹奏楽界でも愛されている名曲です。
あんずの木
Broadly and sustained TpとTbによるファンファーレから始まります。旋律のイメージはゆったりとした音楽ですがその後ろに細かい揺らぎのパッセージを木管楽器を中心に構成されています。リードの曲は和声的に古典的なものが多くそれゆえに非常に安定した音程が必要とされます。
やまうずらの歌
ゴミダス自身の創作民謡で、同じ音の形であるメロディが各楽器に受け継がれながら歌われていきます。Hrによる小気味の良いリズムや管楽器によるCrescやDimの処理の仕方に工夫が必要な部分です。音色に注意し、また周りのパートとのバランスが大事です。
ほい、私のナザン
ナザンという少女への若者の愛の歌です。5/8拍子のとり方が小節により変わるので各楽器は1度スコアに目を通したほうが良い部分です。非常に早く目まぐるしく変化していきますが、OboeやAsaxはこの曲が愛を歌うということを忘れずに・・・。打楽器パートはこの民俗的な舞踏のリズムを打楽器で歌い上げなくてはならないので苦労する箇所だと思います。Flの入りや中間部でのTb及び金管楽器は拍子のとり方で難しい箇所があります。(109や157)
大きく分けて2つのメロディが交互に繰り出されるので、男から女へ、女から男への呼びかけのような効果があると思われます。
ゆけ、ゆけ
ユーモラスに明るく軽快に。同じようなメロディの形が繰り替えされますが、少しづつ楽器が変わり、一つの頂点を目指しています。249〜251のような形が多く出てきますが場面によってその音の役割は変わっていきます。Furiosoでは情熱を持って全員の踊りを表現している部分でしょうか。この場合のFuriosoは怒り狂うでは無く、単に熱狂さをあらわすために記号だと思います。