難易度★★★★★ 4楽章構成
全国大会で洛南高校が演奏したのは記憶に新しいギルガメッシュ。
ギルガメシュ叙事詩は古代メソポタミアで成立した現存する最古の文学作品とされている。暴君ギルガメッシュがエンキドウと出会い、成長し友情を深め。人生の終焉で悟るまでを表現している。
wikiも参照のコト
第1楽章 Gilgamesh & Enkidu
地響きのような低音FgやSt Bassによる冒頭。つかみどころのない拍子に少しづつスピード感が増してくる。この冒頭のテーマこそギルガメッシュの全楽章を支配するテーマ音楽である。木管群の細かいパッセージや変拍子に対する馴れが必要。38小節目からはleggeroの指示があり全体的に軽めのイメージを持つがAccelし49小節目でIratoへと突入する。場面の切り替えや描写の切り替えが早いので目まぐるしいほどのイメージを持つ、難易度は高い
Enkidu the Nobleはそれに対し滑稽で軽い音楽に変わる。拍子も6/8や12/8という形いnなる。メロディを受け持つのはPicとFgでアンバランスな印象がかえってこのテーマを浮き彫りにすることだろう。103小節Grandiosoからは和音がもっとも綺麗で堂々と響く。まさにNobleという表現が相応しいEnkiduのテーマである。
第2楽章 Battle of Titans
7/8という数え難い拍子に加え表示されるテンポは速い。中低音+Timpがリズムの要になる。9小節ホルンはギルガメッシュのテーマの変奏である。この曲では全体的に2つのテーマを多様している。18小節目Tpは逆にEnkiduのテーマと言えるだろう。2つの巨人(GilgameshとEnkidu)の衝突が描かれ指示される音量からもその衝撃がわかる。55小節からのFl・Picによる不吉な予兆(ランダムノート)を指示し、現代の吹奏楽らしい面白い書き方だといえる。その間にも2つのテーマが顔を出すので奏者としては気が抜けない。95小節目からのTpはハイD♭のフラッターが出てくる箇所も難所の一つといえる。118小節目からはガラリと雰囲気が変わる
TrueFriendship戦いの後の二人が友情(忠誠心)で結ばれあう場面。激しさは無いものの音程や和音が重視されるデューナミクの幅が要求される。166小節からの不吉な予兆が3楽章以降への音楽の期待(変化)を想像させる。
第3楽章 Adventure In The Forest
Presto。颯爽と奏でるメロディを受け持つTpとHrの1st2ndは冒頭から高音で苦しめられる。テンポが速い為6小節目からのSaxは相当メリハリよく吹く必要があるだろう。7/8や8/8という変拍子で進むので木管楽器のグルーヴ感を大事にしたい所。42からの2/2も木管楽器は苦戦を強いられる部分16分音符の連続且つ音量が求められる。ここからはイメージが変わり不吉な要素と不協和音で音楽全体を支配していく。57小節からのLowTomが全体のリズムを表現し、錯綜するように2拍3連の中低音、中近東の音楽を思わせるPicとE♭claの16分音。86小節から冒頭にあった7/8の軽快な音楽へと戻る。目まぐるしく変わる変拍子と、細かいパッセージの嵐そして絡み合うようなリズム(16分音符と2拍3連の組み合わせ)などが多いため、各自が自分の役割をしっかり果たす必要がある。Mysteriosoで雰囲気が変わりまた1楽章であらわれたギルガメッシュのテーマが流れる後不安をかき消すように明るい音楽へと戻り幕を閉じる・・・・が最後に流れるHrの不協和音が次の楽章に対する恐れや一抹の不安を隠しきれない
第4楽章 Journey To Utnapishim
Enkiduを失ったギルガメッシュが不死の技を求めて旅をしてから、冒険の旅が終わるまでをあらわした楽章。
Enkiduの死から始まり、全体的に陰鬱な印象を冒頭から受けるだろう。Euによるソロはまさに鎮魂歌である。31小節からのCla奏者におけるchorusも重要な要素の一つである。鎮魂の意である歌と打ち付けるような低音+打楽器が対照的に描かれている39小節からのASaxのソロは非常に遅いLargoで表現させるため奏者の息の長さやたっぷりとした表現が必要とされる。拍子も遅いながらに変化が多いので困難な箇所。ペースが遅いが音楽は少しづつ力をまして上昇していくので油断が出来ない。108小節目からは金管楽器、特にtpが高音を任せられる。一瞬ではなく連続で長い音を吹かせるためにスタミナ切れが懸念される。ギルガメッシュが最後に行き着く真理を求める旅が終わろうとしている。全てを吹き終えた後に、少しづつ減衰しながらもなおギルガメッシュのテーマがOboeやTSaxに引き継がれながら幕を閉じる